保険外診療

PRP(多血小板血漿)による再生医療治療について

PRPとは、Platelet-Rich-Plasm(多血小板血漿)を略した名称です。血液を遠心分離機にかけた後の血小板を多く含む血漿層のことです。
血小板は血管が損傷した場所に集まって止血過程で重要な役割を果たしますが、その際に多量の成長因子を放出します。この成長因子は組織修復を促進する力があります。PRP治療は血小板に含まれる成長因子の力を利用して、人が本来持っている治癒能力や組織修復能力、再生能力を引き出す治療です。

写真:PRP(多血小板血漿)治療について

筋・腱・靭帯への投与によるPRP治療

なんども繰り返す筋・腱・靭帯の痛みに対しPRPを投与することで、腱や周囲の筋肉の微小血管循環を改善することを示唆するという文献があります。

対象となる主な症状

主な症状1
野球肘、ゴルフ肘、テニス肘:
なんども繰り返す痛み
手術はしたくない など
写真:主な症状2
足底腱膜炎、ジャンパー膝:
なんども繰り返す痛み
服薬、注射では効果が続かない など
  • 上記症状があっても対象とならない場合もありますので、詳しくは担当医表をご確認のうえ、廣田院長にお尋ねください。

治療成績と効果

一般的に1週間〜6ヶ月で組織修復が起こり、治療後2週間〜3ヶ月までに効果の出現が期待できます。
PRP治療を行った後24週間後の経過観察で成功率は84.9%だったという報告があります。

治療手順

写真:採血

STEP1. 採血

26ml~55mlの血液を採取します。

写真:血液を装填

STEP2. 血液を装填

遠心分離機の専用ボトルに採取した血液を装填します。

写真:遠心分離

STEP3. 遠心分離

3200rpmで遠心分離を行います。

写真:PRPの抽出

STEP4. PRPの抽出

専用のチューブでPRPを抽出します。

写真:患部への投与

STEP5. 患部への投与

超音波ガイド下に患部へPRPを注射で投与します。
治療は日帰りで終わります。
原則として麻酔は必要ありません。
治療当日は飲酒や入浴はお控えください。

関節への投与によるAPS治療について

APS治療とは、PRP抽出液による関節症治療の事を指し、変形性膝関節症に対して行われる治療法です。
変形性関節症の初期〜中期では関節内の炎症によって軟骨破壊が進んでいます。関節内では軟骨の破壊成分を作り出す悪いタンパク質(炎症性サイトカイン)が活発になっていて軟骨の破壊成分(MMP)の産生を促進しています。
自己タンパク質溶液(APS Autologous Protein Solution)療法とは自己血を遠心分離機にかけて良いタンパク質(抗炎症性サイトカイン)を高濃度で抽出して変形性膝関節の関節内に注入する方法です。
良いタンパク質は悪いタンパク質の働きをブロックして軟骨破壊に傾きがちな関節内のバランス改善に寄与します。

写真:APS実験的治療について

対象となる主な症状

APS治療は、今現在炎症症状(痛み・腫れ・熱感)が強い方に効果的と言われ、レントゲン検査で変形の程度(KL分類)を確認し、5段階(グレード0〜4)のうちグレード2〜4の方が対象となります。

対象となる主な症状

APSが対象となる例

  • KL分類2〜4で炎症・痛みが強い
  • ヒアルロン酸注射では痛みのコントロールが難しい
  • リウマチなど他の炎症性疾患がない
  • 水が溜まり腫れが強い

APSが対象とならない例

  • 半月板損傷が原因での痛み
  • 軟骨下骨の問題での痛み
  • 関節内の炎症が治まった手術適応の方

ひざ以外のことで対象とならない例

  • 現在ガンを患っている
  • 抗がん剤、生物学的製剤または免疫抑制剤を使用している
  • 活動性の感染を有する
  • 1ヶ月以内にAPS治療を受けた
  • 重篤な心・肺・肝・腎疾患、出血傾向、コントロール不良な糖尿病・高脂血症などを有する
  • 薬剤過敏症の既往がある
  • 血小板凝固阻害薬を服用している(※)
  • NSAIDs内服を中止できない
  • 副腎皮質ホルモンを使用している
  • ワーファリンを使用している
  • 注射後2週間安静が保てない
  • 精神的に問題があると思われる
  • その他、医師が不適切だと判断した場合

※服薬中でも治療は可能ですが、効果が薄れてしまう場合があります。

APS治療実績

運動時の痛みがAPS治療後どのように変化したのかが下記の表となります。
変形性膝関節症の進行度はKL分類という分け方によって分類されます。数値は運動時に感じる痛みが最大10とした場合に現在の値を取っています。

KL分類Ⅱ~Ⅲ

KL分類Ⅱ~Ⅲ

比較的痛みが取れやすい結果となっています。

No. KL分類 実施前 1週間後 4週間後 12週間後
1 10 5 2.7 1.5
2 6.5 5 5.2 5.5
3 9.3 9.2 7.7 5.8
4 6.1 5.3 4.9 2.9
5 7.3 7.3 2.4 0.7
6 7.9 7.9 6.8 6
KL分類Ⅳ

KL分類Ⅳ

痛みが変わらない方や治療後も痛みが残存する方々もいるが、痛みがおさまる方もいます。

No. KL分類 実施前 1週間後 4週間後 12週間後
7 9 0.7 0.6 0.2
8 7.2 7.2 5.7 5.7
9 5.6 7.4 3.4 2.7
10 10 9.9 7.8 6.5
11 8.7 5.4 5.5 5.8
12 5.1 5.1 4.2 3.2
13 6 3.6 1.9 0.6
14 8.7 6.6 4.3 4
15 5 5.5 4.1 2.6
16 8.4 7.9 8.5 8.6

海外の治療報告ではAPSを1回注入後、約1年間効果が続くと報告されています。
その為12週間後以降に痛みが改善される可能性もあります。

  • 治療効果は個人差によって異なります。詳しくは担当医へご相談ください。

実績

当院で施術したAPS治療の施術実績は以下のとおりです。

※2018年12月から開始(随時更新)

PRP治療とAPS治療が保険外診療である理由

PRP、APS療法のいずれも効果の確立された保険適応の治療ではありません。安全性を検証する治験で問題はなかったため、有効性を検証する治験と平行して、先進的な治療を患者さんに提供する制度を利用します。そのため、保険は使えず全額自己負担で行う治療となっています。

料金表

PRP治療(筋・腱・靭帯への投与) 8万円(税別)
APS治療(膝関節への投与) 30万円(税別)

治療の欠点と副作用について

  • 患者様ご自身の血液を使用するため体調や年齢などに左右され、場合によっては安定した効果が出にくいといった欠点があります。
    (治療効果・効果の持続期間には個人差があります)
  • 施術時、患部への注入には痛みを伴います。
  • 施術後数日間、治療部位に腫れ・痛み・熱感が出ます。
  • 腫れは治療部位によっては1週間程度続くことがあります。
  • 採血部位・治療部位に皮下出血が起こる場合があります。

治療に関するお問い合わせ

外来受診のご相談については、お電話(011-816-3200)で承ります。
PRP治療とAPS治療を希望される方は、始めに廣田院長の診察を受けていただきますが、その前に検査が必要となりますので、あらかじめお電話にてご予約願います。
院長の診察後、PRP治療とAPS治療が必要な方については別の日に予約を承ります。

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