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特徴からわかるランニング障害 Vol.5 ランニング障害とインソール 2020.12.12

こんにちは。

今回もコラムを読んでいただき、ありがとうございます。

前回まではランニング障害を予防するための、
ストレッチとエクササイズを紹介しました。 

今回はランニング障害とインソールのお話をします。

1.インソールってなに?


インソールとは靴の中に入れる中敷きのことです。

通常であれば、靴を購入した時にすでに中敷きは入っていますが、

ここで紹介するインソールとは、中敷きに様々な機能が付いた、

機能的なインソールを指します。

 

2.インソールの機能にはなにがあるの?


インソールには様々な機能があるので、その機能をいくつか紹介します。

土踏まずのサポート

人間の足には「土踏まず」と呼ばれるアーチ構造が存在します。

土踏まずには、地面に足が接地した時に地面からの衝撃を吸収する機能が存在し、

これをトラス機構と呼びます。

トラス機構は足に体重がかかった時に、
足の骨と足底腱膜と呼ばれる腱の動きによって衝撃を緩和するため、
とても大切な機能になります。

しかし、土踏まずが形成される8歳頃までに過度な体重の増加や、
足の筋肉の疲労による筋肉の機能不全や筋力低下があると、
アーチ構造は潰れて扁平足になります。

扁平足になると、土踏まずが持っている衝撃吸収機能が低下するので、
ひざや腰の負担が大きくなり、負担の大きくなったひざや腰に痛みが出現する場合があります。

そのため、インソールによって土踏まずをサポートすることで、
足本来が持つ衝撃吸収作用機能を保たれます。

衝撃吸収作用

先ほど土踏まずには地面からの衝撃を吸収する働きがあると紹介しました。

ですがランニングなどでは片足にかかる衝撃が、
体重の3〜4倍になることもあります。

そのためインソール自体にも衝撃吸収機能を持たせることで、
足にかかる衝撃を軽減させる働きがあります。

 

かかとの安定性の向上

インソールには外側や内側が少し盛り上がり、
かかとを支えるような構造を持つものがあります。

かかとは本来、地面と接した時に少し内側に傾いている状態が一般的です。

しかし、足首や足部が硬い人や、足の筋肉の機能が落ちている人は、
この傾きが大きくなったり、反対に傾きが極端に少なくなってしまいます。

このかかとの傾きが正常な範囲から逸脱すると、
より体幹に近い関節であるひざ関節や股関節、腰などで全体のバランスを整えようとするため、
結果的にひざ関節や股関節、腰といった、他の関節の負担が大きくなることで、
障害へとつながります。

そのため、かかとを正常な傾きで安定させて、
他の関節の障害を予防する目的があります。

3.インソールと障害予防のつながりは?


ランニングをしている時、地面に接地した足には体重の3〜4倍の衝撃
かかると言われています。

この衝撃はひざや股関節、背骨など
動きが大きい関節によって衝撃が吸収されます。

しかし、足部の衝撃吸収機能が落ちている場合、
接地した時の衝撃を吸収しきれないので、

ひざや腰などの安定性が高い関節にかかる衝撃が大きくなるため、
ひざや腰などの障害へとつながります。

また、骨の位置関係(かかとの傾きなど)が崩れると、
それぞれの関節にかかる負担割合の変化や、
関節の細かい動きが変化してしまうことで、
障害が発生する確率が高くなります。

これらの問題を改善するために、土踏まずのサポートによる足の持つ衝撃吸収機能の補助や
インソール自体の衝撃吸収機能、インソールによる骨の位置関係の修正を行うことなどが、
ランニング障害の予防につながります。

 

このように様々な機能があり、ランニング障害の予防にもつながるインソールですが、
医師の処方があれば病院でも購入することが可能です。

病院で購入する場合は、義肢装具士の方が採型してその人にあったインソールを作ることができます。
この場合、保険適応となるため自分の足にあったインソールを比較的安価で購入することが可能です。

 

もし、ストレッチやエクササイズをしてもなかなか痛みが改善しない時は、
構造的な問題も考えられるため、インソールなどの購入も検討してみてはいかがでしょうか?

 

今回で「特徴からわかるランニング障害」シリーズ全5回は終了となります。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

  

参考文献・参考資料

・スポーツ医学検定公式テキスト1級 

一般社団法人日本スポーツ医学検定機構

・アスレティックケア リハビリテーションとコンディショニング 小山貴之

・ランナーの体を考える会

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